気まま猫草

音楽が好きな社会人の徒然

【私の中の】J-POP 20年史 ベスト30【完成!】

一曲一曲の細部まで説明したり、音楽の歴史をジャンル毎で紐解いたり、表題曲以外を紹介したり、売れ線を取っ払って音楽の面白さを伝えてくれる関ジャム 完全燃SHOWという音楽バラエティ番組がありますね。

 

先日番組の一環で【J-POP 20年史 プロが選んだ最強のJ-POPベスト30】という企画をやっていました。48名のプロが2000年〜2020年までで30曲ずつ選んだものを加算して、ベスト30を公開するというもの。

ランキングを見ていたらこれは選ぶよな…という感情となんであれは入ってないんだ…という想いが交錯したわけです。

入ってないけどJ-POPシーンの枠を広げたもの
入ってないけど自分が衝撃を受けたもの


がいっぱいあって、自分の棚卸しもしたく書き出してみました。30曲に絞るのはなかなか難しくて、書き出してから削る作業が大変。

 

マニアックなアルバム曲だらけのものになっても意味がないので、ルールを決めました。
①基本シングル、譲ってもアルバムのリード曲
②そこそこ自分が得意なV系は含めない
③極力2000年以降の活動がメインになったグループ

 

にしています。そして好きなGLAYを入れると30曲 GLAY…とかになるので完全に排除。
番組ではランキングにしていたけど、しばらく悩んで順位が決められず、年代順に並べてみます。やっと完成しました…!

 

罪と罰/椎名林檎(2000年)

罪と罰

罪と罰

演歌だ。初めて聴いたとき演歌をオルタナサウンドで展開していると思った。
情念のこもった歌い方と歌詞。愛と無常観を謳い、そこに漂う孤独感。なんて退廃的。
一点集中のように突き刺す林檎さんの声がさらに拍車をかけている。音楽スタイルはいろいろ変わっていくが、初期椎名林檎の情念サウンドが2000年以降に与えた影響は大きいと思う。メジャーシーンだけでなく、インディーズやアンダーグラウンドシーンでも。マスとコアで両立を図った、両立を図れた一曲。 

 

Escape/MISIA(2000年)

Escape

Escape

Everything、逢いたくていまとも迷ったけど、R&Bを感じるEscapeに。リズム感、タイム感の良さは明瞭。
MISIAR&Bサウンドをベースに、ハイトーンで芯の通った声のソウルシンガー。JPOPバラード歌手でないところを強調したかった。
ライブでのセッションを楽しんでいく様はどのように展開するかわからない生き物そのもの。曲自体だけじゃなく、MISIAの活動含めての選曲。

 

Your Song/LOVE PSYCHEDELICO(2001年)

Your Song

Your Song

キレの良いアコースティックギターのリフに乗る洋楽的なメロディがとても心地良い。歌詞も日本語と英語が混ざっていて、初めて聴いた時は日本人が全編英詞で歌っているのかと思った。韻を踏んだり、発音としての音抜けも良くて、日本人が考える英詞ではなく、洋楽っぽいのだ。
洋楽至上主義の人も好きなアーティストに挙げるぐらい特別で、60〜70年代の音楽を踏襲しつつ、洋楽寄りに邦楽と融合させたハイブリッドアーティスト。

 

ロージー/aiko(2001年) 

ロージー

ロージー

抑揚フェイクメロディの鬼、奇才aiko
元のメロディが既にフェイクのよう。ロージーはテンポが速くない分その傾向が強く、メロディがうねうねしている。そしてaikoらしさの6度メジャー(aikoが始めたわけでもないし、ジャンヌのyasuの方が6度メジャーのイメージは強いが)
aikoらしさが凝縮された一曲が2000年前半に既に完成されているのがすごい。愛の病と迷ったが、メジャー度合いを考えこちらへ。


Smac/SMAP(2001年)
SMAP CDデビュー10周年記念シングルとして2001年に発売。これまで発売のシングルの歌詞やメロディ、間奏部分のフレーズ等をサンプリングして構築。
具体的にはイントロから青いイナズマ、たいせつ、SHAKE、ダイナマイト等、4小節毎にわかりやすく繋いだりする。
本来SMAPであればセールス的にも、世相を反映した歌詞としても世界に一つだけの花を選ぶべきかもしれないが、これまでのシングルをベストアルバムと異なる形で凝縮して世に放った一曲として選びたかった。そういえば1994年のがんばりましょうもサンプリング入れたり、デビュー曲Can't Stop!!-LOVING-はキラキラ星挿入したり、なにかとサンプラーなり、引用して楽曲に取り込んだりしていたわ。
そういう意味では10周年SMAPの集大成としても代表曲じゃないかな。 

 

Fish Fight!/野猿(2001年)

Fish Fight!

Fish Fight!

野猿撤収(解散)前ラストシングル。
魚の鮒が主人公で、鯉への劣等感や海水魚への憧れを謳っている。音楽って惚れた腫れた曲じゃなくても良いんだ!って目の前が広がった曲。よく踊ってたよ…。
とんねるずのみなさんのおかげでしたで企画されたユニットだけど、曲がほんとに良かった。作詞:秋元康、作曲:後藤次利(Fish Fight!は作詞も)ガラガラへびがやってくるの黄金コンビ。

 

天体観測/BUMP OF CHICKEN(2001年)

天体観測

天体観測

おーいぇーえー、あはーーーんってどれだけの人が歌ったことか!林家木久蔵のいやんばかーんを塗り替えてしまったよ!
90年代に青春を捧げた人がGLAYを通ってきたように、00年代が青春だった人はBUMPを聴いてきた人が多いのではないか。オルタナをポップ性を纏いJPOPの中心に持ってきてわかりやすく演奏してくれている。
車輪の唄とかのもうちょっとアイリッシュな感じや、ネタ曲いかを選ぼうかとも思ったけど、王道で。

 

そうだ!We're ALIVE/モーニング娘。(2002年)

矢口さんが初センターの曲でしたね。目眩く曲調にめまぐるしい展開の楽曲の中でベースラインがとても良い。バリバリ生音重視なサウンドでMVにはマーシャルのラック。サビはハードロック、Aメロはファンク調。
特に良いのはサビ明けのアイドルソングになったところ。16分で刻むベースラインが最高だ。
次曲のDo it!NowとTHEマンパワー!!!も迷った。

 

Flyte Tyme/SOUL'd OUT(2003年)

Flyte Tyme

Flyte Tyme

  • SOUL'd OUT
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥255

ヒップホップグループSOUL'd OUT。
初めて聴いたときDiggy-MO'のリズム感、発音の良さ、声質に圧倒されたのを覚えている。
低音で捲し立ててくるようなラップはこれまで聴いたことなかった。このグループを聴くまではヒップホップやラップは正直馬鹿にしていたところがあったけど、考えが180度変わった。この曲、このアーティストに出会わなければミクスチャーロックも受け入れられなかったかもしれないし、自分の中でラップやヒップホップの扉を開けてくれたと思っている。

 

ガラナ/スキマスイッチ(2006年)

ガラナ

ガラナ

ポップスの中にある熱さを感じるスキマスイッチで一番好きな曲。たぶん高校の文化祭でやった思い出も加味している。譜割が詰め込まれて難しい。
当時激しめのバンドサウンド至上主義に向かいつつあったけど、内なる熱さを楽曲に乗せるという意味での激しさもアリだなあと考えを改めさせてくれたように思う。

 

友達の詩/中村中(2006年)

友達の詩

友達の詩

  • 中村 中
  • J-Pop
  • ¥255

片想いの恋愛ソングのようだけど、トランスジェンダーをカミングアウトした中村中が歌うからこそ苦悩、葛藤が反映される。
トランスジェンダーのことを言いたいわけではないけど、同じ曲だったとしても歌い手によって意味や想いが変わるんだ…と思わされた。表現したい想いがあるから曲を通じて伝えるという、音楽としての原点を改めて教えてくれるような一曲。

 

Hide & Seek/安室奈美恵(2007年)

Hide & Seek

Hide & Seek

決意を込めたSay the wordより小室哲哉プロデュースから離れ、HIP HOP、R&B志向の楽曲が増え、セールス的にそれまでと比較すると低迷するものの、時代が安室ちゃんにやっと追いついて再ブレイク。
その過渡期でリリースされたアルバムPLAYのリード曲。警官帽にムチを振って部隊を率い踊る安室ちゃんのカッコよさよ。サビの半音下がっていくメロディのリフレインがダンスと共に追い詰めてくる。リフって演奏じゃなくて、メロディでも効果的なんだ…もはや声が楽器か…。そして、パフォーマンスもあるからこそ芸術なんだとそれまで音楽の聴き方を覆された一曲。

 

ポリリズム/Perfume(2007年)

ポリリズム

ポリリズム

  • Perfume
  • エレクトロニック
  • ¥255

なんといっても中盤のポリループ。拍の異なるリズムを重ねているのが繰り返し繰り返し。それがライブで演奏されると照明も相まってトリップ感がすごい。
中田ヤスタカのcapusuleはばりばりハウスだけど、PerfumeはテクノをJPOPに持ち込んで上手く融合させてるよね。それでもトリップ要素はガンガン効かせて、テクノ側で帰結しそうになりつつも、またJPOPに帰ってくる。
そしてダンスがかっこいい。楽曲+ダンス+照明・音響等々、曲単体ではなく、アートとして在るからこそ見ていて飽きないんでしょう。


Love so sweet/嵐(2007年)

Love so sweet

Love so sweet

  • J-Pop
  • ¥255

嵐の代表曲と言っても過言でない。
それまで人気がなかったわけではなく、むしろ売れていたし、アリーナ規模でツアーはやっていたけど、動員がドーム・スタジアムレベルになったのはそれ以降。花より男子効果もあり、2006年Real Faceから続いていたKAT-TUNの波が一気に変わったような気がした。
楽曲がサビ転調で、その転調がとても自然。C#m7→D#7→E7→FM7と順を追って丁寧にエスコートしてくれる。そして、Aメロへの戻り方も違和感がない。このエスコートの感じ、次曲のHappinessも同じ。いぇいいぇいいぇーいぇーいいぇーいいぇーの違い。
嵐は転調曲も多いけど、このあたりからサビ転調曲が特にシングルで増えたように思います。そのきっかけがこの2007年だったのかなあ。嵐の枠組みを広げた意味でLove so sweetかHappinessで選曲は迷いました。Step and Goも別枠としてとても迷った。

 

愛をこめて花束を/Superfly(2008年)

愛をこめて花束を

愛をこめて花束を

  • Superfly
  • ロック
  • ¥255

Superflyの代名詞と言っても過言でない曲。優しいミディアムバラードかと思って聴き始めるとブルーステイストのギターにサイケなサウンド、一本しっかり通った声がソウルフルでもはや洋楽なのよ。ファッションもヒッピーで、音楽は楽曲だけじゃなくて、アティチュードも含むものと思わされる。そして、60〜70年代の真似事ではなく、それを咀嚼して、独自の解釈として提示するから古臭く感じないんだろうなあ。

 

ポニーテールとシュシュ/AKB48(2010年)

ポニーテールとシュシュ

ポニーテールとシュシュ

スカートひらりと悩んだ!
ピアノイントロがとてもメタリック。あー北欧メタルぐらい哀愁漂うイントロ。
そしてこの曲転調が本当に多い。
ピアノが終わり、G♭から明るいイントロが始まったと思ったらイントロ中にまずAへ転調。パワーコードが似合いそうなAメロが始まり、Bメロの途中で雲行きが怪しくなり、サビでG♭/E♭mへ転調する。イントロにサビで戻るし、転調も上がるのではなく下がる。
2番も転調し戻り、ブリッジがあった後、サビに向かってもう一度転調しG/Emになる。またまたパワーコードが似合う。3回の転調が秀逸。
ポップなアイドルソングの裏に緻密な展開あり。AKB楽曲のこだわりを牽引しつつ、アイドルソングの再評価にも繋げた一曲。

 

PON PON PON/きゃりーぱみゅぱみゅ(2011年)

PONPONPON

PONPONPON

中田ヤスタカプロデュース。Perfumeとも方向性が異なるポップ性。ポップだけどグロテスク。いわゆるグロカワの火付け役。
MVもゆめかわ色に溢れているかと思えば、グロテスクなテイストも飛び出してくる玩具箱のよう。その奇抜性がよくて、初めて見たときいつのまにかMVが終わってたぐらい集中して見ていた。途中capusule風なヘドバンが挟まってるのはある種オマージュなのかな。
今はまた少し方向性は変わってるけど、2010年代の新しいカワイイの方向性を定めたような一曲。

 

イジメ、ダメ、ゼッタイ/BABYMETAL(2013年)

イジメ、ダメ、ゼッタイ

イジメ、ダメ、ゼッタイ

  • BABYMETAL
  • メタル
  • ¥255

アイドルとメタルの融合がテーマのユニット。イントロのピアノ始まり、FOXジャンプ、飛べ飛べの煽り、ライブラストの〝We are BABYMETAL!〟の煽りが一貫してXのオマージュ。楽曲もメロディックスピードメタル
さくら学院の重音部から始まり、アイドル畑から旋風を巻き起こし、歌唱力の高さと演奏力の高さが評価され、紅白まで出場。今、メインストリームはオルタナであり、HR/HMは世間から評価されにくい中、メタルを纏い紅白まで行ったのは本当にすごい。
アイドル側面のファンと演奏力やあらゆるオマージュに魅せられたメタルヘッドとお茶の間で初めてメタル楽曲に触れた方々を巻き込んで支持層が拡大しているのかな。音楽的に融合したのもあるけど、散らばっていたミュージックフリークスを統合した一種の帝国のよう。
ライブにおけるMCの排除による世界観構築、ストーリー性を持った活動(METAL RESISTANCE)、様式美、アイドル性がV系そのものではないにしても、系譜を継いでいるように思う。


One Song From Two Hearts/コブクロ(2013年)

One Song From Two Hearts

One Song From Two Hearts

活動再開後、2枚目のシングル。
詞からも活動休止期間の想いが伝わるし、音楽的にも2人で再開したかった想いが伝わってくる。アコギのカッティングがまたファンクで。
シンプルなサウンドだからこそ熱さが伝わってくる、楽曲全体から溢れ出す熱意、信念が好き。次第に入ってくるストリングス、ピアノ、ベース、ドラム。間奏のギターは単音で展開するのになぜこんなに揺さぶってくるのか。
ラストはオーケストラのようなフィナーレ。2人で初めた一曲が次々と伝わっていき大きくなっていく様を表しているよう。4分もない短い曲なのに展開が早く…と言っても無理矢理な展開は無く、本当に自然に伝播していくのが、コブクロが路上ライブ時代にファンが徐々に増えていったことを表しているようなそんな気がして間違いなく2人のことも表したような曲。


表裏一体/ゆず(2013年)

表裏一体

表裏一体

  • ゆず
  • J-Pop
  • ¥255

HUNTER×HUNTERの主題歌。
ゆずがV系の音楽を纏っていると思った。編曲でヒャダインが入っている事が大きいのかもしれないが、これまでのゆずのイメージを覆し、キメが沢山入っている。ストリングス導入で寂しい感じも醸しつつ、アコギがリズム要因として使われているのも新鮮。
シシカバブーとかいちごのようなネタ曲はあったものの、このシリアスさは珍しい。
ひょうりいっったーーーいって腕を振り上げたくなるねえ。なんなら咲いちゃうよねえ。

 

千本桜/和楽器バンド(2014年)

千本桜

千本桜

ヤマハボーカロイドを開発してから、ボーカロイドに歌わせた曲が沢山作られ、ボカロPが登場した。息継ぎを考えず作った曲も多く、人間で歌えないはずなのに、それに果敢に挑戦する歌い手が出てきた。そのカウンターに対するカウンターの中で、歌うだけでなく、演奏パートまで和楽器を用いたバンドサウンドでアレンジする和楽器バンドが登場した。
それも日本企業であるヤマハに対して、和楽器…というのがドラマティックであり、知名度の高い千本桜自体も和音階、跳ねないビートで構成されているのも日本的で、このカウンターの連続が日本で完結しているのが良い。
そういう意味で初音ミクとしてだけではなく、和楽器バンドの千本桜を選んだ。

 

新宝島/サカナクション(2015年)

新宝島

新宝島

レトロ感のあるイントロ、ダンスミュージック。シンプルだけど、一度聴いたら忘れないイントロにAメロにサビ。MVも昭和のドリフのようでネタ感でいっぱいなのに、真剣に演奏している。それが良い。全てが特徴的。
みんな踊れるし、初めて聴いたとしてもすぐに踊れる。ある種現代にあるみんなで踊りたいキャンプファイヤーソング。

 

私以外私じゃないの/ゲスの極み乙女。(2015年)

スキャンダルで敬遠されがちだけど、16ビートに詰め込んだ歌詞と7thコードを多用したオシャレな楽曲が良い。そして休日課長のベースラインのグルーヴ感よ。
8ビートの骨太ロックもいいけど、さらっと肩の力を抜いて仕上げるのもかっこいいいいよね。明らかに渋谷系を継承してアップデートしている。間奏部分なんてモロ渋谷系よ。
この音楽性がJPOPに与えている影響は大きいし、必ず未来のJPOPに良い作用を及ぼすでしょう。

 

あつまれ!パーティーピーポー/ヤバイTシャツ屋さん(2016年)

クラブでおなじみシャッシャッシャッシャッシャッシャッ、エビバーデー!(Shots/LMFAO)のオマージュ。金爆で言うザ・V系っぽい曲のようにシニカルで、Shotsで戯れるパリピを揶揄したような曲。そしてヤバTが全然パリピ感0。陰キャ感ある彼らがやるからこそ良い!陰キャ陽キャを演じたって良いじゃないか!我々陰キャの星として末長く活動してほしい。

 

10% roll,10% romance/UNISON SQUARE GARDEN(2018年)

シュガーソングとビターステップとどっちにするか迷ったけど、異常な速さのランニングベースを決め手にこちらへ。
音数を詰め込んで、わっと始まってわっと終わるUNISONを象徴したような曲。詰め込んでいるのに爽快感がすごいのは斎藤さんの軽やかな歌声の効果なんだろう。90年代の音楽も音数を詰め込んでいる印象はあるけど、また別のアプローチで音数が詰まっているバンド。

 

Lemon/米津玄師(2018年)

Lemon

Lemon

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255

メロディラインそのものから16ビートのリズムを感じる一曲。休符を感じながら歌えばR&Bになる。ブラックミュージックのリズムなのに、節回しは和風でそれが新鮮。米津節。彼の曲はリズムを感じて歌う練習になる。
R&Bの裏拍リズムで歌うけど、メロディは日本的だからこそ、MVでラストのサビでみんながンバッ\(^^)/って手を挙げるところも一拍目で違和感がないんだろうな。表で揉み手のよう。
歌詞のテーマは別れ、死別、いろんな解釈ができる。ただ、相手がいなくてもその人の中に生き続けている事がわかる、ある種、生を感じられ、前向きにも捉えられる。喪失感と共に揺るぎない存在感も感じる、アンビバレントな感情。
歌詞もメロディも併存しつつ、微妙なバランスの中で成り立ってすごい。

 

何なんw/藤井風(2019年)

何なんw

何なんw

  • 藤井 風
  • J-Pop
  • ¥255

最近一押しシンガーソングライター。R&Bベースのメロディラインとピアノ、対照的な岡山の方言の歌詞。でもその歌詞が外国の言葉のようで洋楽のように感じる。
力の抜き方が絶妙な歌声がまた良い。英語もペラペラらしいのに、全編日本語。日本人としてのアイデンティティと、それを飲む込むぐらいのOVERSEAS極振りの音楽的センス。その攻防を楽しんでいたら曲がいつのまにか終わっていた。ジャズライブの攻防のよう。
この曲に限らず、発表する楽曲が洋楽的で、でもこだわりの日本語歌詞。そこが良くて何度も聴き返してしまう。

 

Pretender/Official髭男dism(2019年)

Pretender

Pretender

A♭メジャー基調のポップなメロディをハスキー声で軽やかに歌い上げているけど、歌詞を覗けば一曲丸々未練を引きずる様がヘヴィでタイトル通り非常にPretender。
具象をイメージしやすく未練を謳っているけど、肝心の中身は不倫か、片想いか、推しへのガチ恋勢の感情か、特定が無いからこそ多くの人が共感できる歌詞。
そしてリズムが16ビート。ブラックミュージック。マジでリズムがまっくろ。Aメロまで続くギターリフはもちろん、メロディも休符の取りが良い。ジャズテイストもブラックも咀嚼してJPOPに持ち込んでいるから聴きやすい。ブラック寄りだからこそ叶わぬ恋や上手くいかない現実の曲も多いのかな。と言いつつ、藤原さんと小笹さんはメタルヘッドなのがまた推せる。
歌詞の重さを諦めを通り越した明るさで歌う様とやりたいことを持ち込んでサラッとJPOPの枠組みへ収めているのがとても好きな部分。

 

白日/King gnu(2019年)

井口さんの消えそうな、消えてなくなってしまいそうな高音から始まる。歌詞に沿いながら展開するはとてもシアトリカル。歌詞は内省的でデカダンスに通じ、歌詞から後悔の念、退廃感が犇々と伝わってくる…もはや90年代のV系だ。特に名古屋。
曲そのものはミクスチャーで、メロディは歌謡曲ベース。日本人が絶対好きなメロディライン。本当に聴きやすいメロディで、演奏面はファンク・ヒップホップのビート感。ここでも真っ黒なリズム。今の日本はサウンドがブラックなものが流行るのかなあ。
良いところをかけあわせて独自の文化を形成したガラパゴス日本を継承する曲。

 

夜に駆ける/YOASOBI(2019年)

夜に駆ける

夜に駆ける

  • YOASOBI
  • J-Pop
  • ¥255

ヨルシカ、ずっと真夜中でいいのにと合わせて夜好性アーティスト、というらしい。共通項は女性ボーカル、コンポーザーがボカロPという部分だけど、なぜこのYOASOBIを選んだかと言えば、よりボカロっぽいから。曲調もヨルシカ、ずとまよに比べると徹底した打ち込みサウンド。ikuraさんの声は良い意味で癖がない。
和楽器バンドがボカロ曲を力強く歌い上げアレンジすれば、YOASOBIはボカロと並列に、語るように歌い上げ実写化したような印象。
ボカロと人間の攻防、カウンター合戦がムーブメントであり、文化として定着していく。
提供したコンテンツが一人歩きして、活用され、音楽ジャンルとして発展した2000年代末〜2010年代の躍進がすごい。
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iTunesにあるものは貼り付けておきました。


JPOPの発展と躍進に寄与した作品と自分に影響を与えた作品のどちらにも寄りすぎないよう、中庸を意識して選んでみました。ガラパゴスJAPANがテーマです。
選曲は割とポンポン出てきて、30曲じゃ足りないくらい。特にシングルに縛らなければ膨大だもんね。

それでも、出てきたこの30曲は自分のベースになっていたり、形成してくれているものなんだろうな。JPOPという枠組みだから上記を選択したんだろうし、JROCKならまた変わっただろうし、自分がJPOPに入れたいグループが自ずとわかったような気もする。


2000年代と言えば小学生高学年から始まるわけで、自分が能動的に音楽を選択し始めた頃。GLAYは当時から好きだったけど、もっと大枠のJPOPが本当に好きだった。


今回30曲思い返し、メロディラインがどうとか、演奏スタイルとか、世相の反映とか語りたくなるけど、結局思い出と共にあって、当時の記憶の世界に浸れるのが1番良いところ。
音楽について語っているんだけど、それをBGMに携えた思い出が結局優勝するというパラドックス。でもそれで良いし、それが良い。だからこそカウンターのように音楽が派生してくる。


自分が多感な頃に影響を受けた音楽を棚卸しする機会になってよかった。
誰もが其々の30曲があって、思い出のメロディがある。皆さんも棚卸ししてみてはいかがでしょう!