気まま猫草

音楽が好きな社会人の徒然

BIG SUNSHINE/中島卓偉 レビュー

 

BIG SUNSHINE/中島卓偉

 

1.BIG SUNSHINE
2.そう思ったのなら
3.風に飛び乗れ
5.BAD REPUTATION
6.GOOD BYE YESTERDAY
7.HEY!BABY!
8.自分を叫べ
9.きみの住む街へ
10.想い出にすがらずに
11.FOLLOW YOUR DREAM
12.頭を使えよ
13.変わる
14.遠いさよなら
15.I remember you
16.STONE, ROLLIN'
 
2022年12月7日リリースされたアルバム。
2015年リリース煉瓦の家以来7年ぶりのフルアルバム。そして、2022年4月に事務所から独立してから初のアルバムリリース。
 

待ち侘びた…!という気持ちを我々が思っていたのと同様に、卓偉さんも待たせたな…!という強い想いが曲数の多さからも伝わってくる。

ワーナーミュージックでの限定盤には卓偉さんの
なが────────いセルフライナーノーツも掲載されていて、アルバムへの気合いがすごい。
 
 
1.BIG SUNSHINE

BIG SUNSHINE

BIG SUNSHINE

イントロからギター、ベースのユニゾンのリフとドラムのシンクロ。NEW RISE!BIG SUNSHINE!と一緒に叫びたくなる。16ビートのミディアムテンポにヘヴィなリフが実に卓偉さんのオープニングらしい。
サビ前にCメロがあってそれが良いブリッジになっている。
 
Aメロのほんのり聴こえる鍵盤がベースラインを際立たせていて、そのうねりが彼の言うThis is my winding long wayのよう。抱えてきた想いとこれから広がる景色が強く詰まっている。
 
2.そう思ったのなら

そう思ったのなら

そう思ったのなら

ヘヴィな一曲目からテンポ差がフックに始まるダンスナンバー。全音符のキーボードに跳ねるベースラインとギターのカッティング。4小節ずつ跨るG#M7→D#M7のコードの長さが好きに踊れ!と言わんばかり。バックビートも際立ち、16ビートに合わせてステップを踏む卓偉さんが目に浮かぶ。
ギターソロがどんどん転調していってまさにジャズテイク。なのにyouさんらしいしばき倒しがまた良い!!!
 
 
3.風に飛び乗れ
 
2022年5月14日、独立後初めてリリースされた配信シングル。youさんがサポートすると聴いてびっくりした。
ベースはJu-kenさんらしくアタックが強く曲にぴったり。
 
ポップでメロディアス。タイトル通り前向きで、曲を聴いて走り出せば風に乗って飛んでいけそうな気がする。
TAKE ME FARAWAY以降のソロがyouさんらしいギター弾き倒し。そこから最後のサビへバトンタッチ。
Janne Da ArcTAKUIが好きだった中学生の自分が聴けば卒倒するのではないかというぐらい夢の組み合わせ。
 

AFTER THE RAIN

AFTER THE RAIN

待ってました!と言いたくなる疾走感。パワーコードで、ルート音で刻むギター、ベースがたまらない。
2番のAメロはギターもベースもフレーズを変えてて曲に動きが出てくる。ソロ明けの全音符サビは手を挙げてる卓偉さんとフロアが目に浮かぶ。早くライブで聴きたい一曲。
 
 
5.BAD REPUTATION

BAD REPUTATION

BAD REPUTATION

独立1発目のツアーDESTRUCTION chapter1のSEで使われていた。
 
そのためライブのオープニングが浮かんでくる。ドライブしていくベースライン、ギターリフがロックンロールというよりHR。Bメロからは中島卓偉らしいオンコードとそのコーラス。本当に正確なピッチのコーラスから滲み出る自信には感服という表現がしっくりくる。
 
6.GOOD BYE YESTERDAY
アルバム発売前、2022.10.7に独立第3弾新曲としてMV公開されたとても優しいミディアムバラード。
歌詞からの情景が流れていくメロディに合わせて心地よく浮かんでくる。望んだ未来とは少し違うけど、今の自分を肯定してくれる歌詞は自分含め、多くの人に刺さるような気がする。
そして今日も歩きだす〟という歌詞が後ろ向きでもなく、無理矢理前を向いているわけでもなく本当に自然で、GOOD BYE YESTERDAYというタイトルそのもの。
 
7.HEY!BABY!

HEY!BABY!

HEY!BABY!

Black NightのようなHRを感じるイントロ、ギターリフ全開6/8シャッフルビート。曲全体で煽ってくる。
このままヘヴィに突き進むかと思いきや、メジャーコードでポップなサビになるのが卓偉さんらしい。BOYS LOOK AHEADのよう。
HEY!BABY!DO IT NOW!と叫んで歌詞のように自分の殻を破りたくなる。ライブでナカジマラカス(エッグシェイカー)を振って壊してしまいそう。
 
 
8.自分を叫べ

自分を叫べ

自分を叫べ

3コードPUNK。そして鬼のダウンピッキング
Aメロ、Bメロは攻撃性に満ちたメロディと歌詞。シンプルなPUNKならこのBメロで終わってしまいそうだが、そこからメロディアスなサビが始まる。そして歌詞も対照的で語りかけるようなところがフック。ブルージーなギターがまたかっこいい。
 
9.きみの住む街へ

きみの住む街へ

きみの住む街へ

配信ライブや2020年末ラドンナ、2021年ACOUSTIC LIVE TOUR等でも披露されていたミディアムテンポの一曲。ベースラインが心地いいこと!
荒幡さんとのピアノでの演奏もよかったけど、このベースラインと良い意味で力の抜けたギターフレーズが曲の良さを引き出していて、このバンドver.が好き。
 
10.想い出にすがらずに

想い出にすがらずに

想い出にすがらずに

こちらも2021年ACOUSTIC LIVE TOURで披露されていた一曲。ピアノだけでなくベース、ドラムも入りバンドアレンジになっている。AORの香りもする。
過去との決別のようなネガティブさはなく、GOODBYE YESTERDAYでも感じた自然と前を向いて歩いていけそうな曲。
 
11.FOLLOW YOUR DREAM
独立第2弾シングル。
〝夢を追いかける全て勇者に捧ぐ〟
 
自分がメタル畑で聴き育ってきた人間なので、最初の印象としてはどうしてもHR/HMのアプローチかと思ってしまった。PUNKのアプローチからのメロディアスな部分とHR/HMのアプローチでのメロディアスな部分はどこかで重なる部分もあって、そのグラデーション部分にある曲ではないのかなと思う。ジャンルというのははっきりと存在するけど、その境目やアプローチはグラデーションであり、意図してか意図せずかわからないけど、その背景が表れた曲に感じた。(全然曲の感想になってない)
 
12.頭を使えよ

頭を使えよ

頭を使えよ

イントロのギターリフがAメロBメロで繰り返されシンプルでかっこいい。サビはお得意転調。
ロディアスなサビかわ終わってからリフに戻るのがまたかっこいい。優等生と書いてお子様と読んだり、歌詞が非常にシニカルで、楽曲の攻撃性と合わせて風刺的。
 
13.変わる

変わる

変わる

イントロからダブルステップ踏みたくなる。ステージで横に揺れる卓偉さんも思い浮かぶし、体の力を抜いて踊りたくもなる。
単音のギターリフとメロディが追いかけ合うAメロ、カッティングと向かい合うBメロが良い。デビューしてから変わらないために変わり続けてきた彼らしい。
 
 
14.遠いさよなら

https://music.apple.com/jp/album/%E9%81%A0%E3%81%84%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89/1656367267?i=1656367433&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

何回転調していくの…。
メロディが移っていく流れは世界が移り変わりさよならを告げているよう。そして、冒頭のシンプルなピアノイントロが中盤でもアウトロでも聴こえてくるのが主人公の主観にも聴こえる。
 
ストリングスがコード感を強めて泣けてくる。
そして遠くで聴こえるタンバリンループ。
時が流れていく様子を曲全体で表しているのが涙を誘う。
 
15.I remember you

I remember you

I remember you

イントロから感じるSWEET SOUL。雰囲気としてHave You Never Been Mellow/Olivia。なんて優しい。
ひとつの記憶の中での描写を切り抜いた歌詞で非常に絵画的。
2019年頃、既にレコーディングも完了したブラックミュージックやソウルに寄ったアルバムがあると言っていたが、そのアルバムにもこのような曲があるのかな…と考えたりする。
 
16.STONE, ROLLIN'

STONE,ROLLIN'

STONE,ROLLIN'

あと半分だ もしかするともう半分もないかもしれない
 
長く活動してきてくれたからこそ響いてくる、人生観を反映した壮大なロックバラード。
音楽は〝演奏〟〝ピッチ〟〝ジャンル〟等、耳から入る情報ではあるものの、それが曲となれば話は別で、楽曲は生き様であり、人生だと改めて思わされる。
中島卓偉の人生観はいろんな場面で、いろんなターニングポイントで楽曲になっているが、この曲は独立した今だから、40代の今だからこそ、真に迫ってくる。
 
また、〝自分自身の為に〟という歌詞が印象的で、卓偉さんがよく言っている
I'm not TAKUI NAKAJIMA who you wish for.
I'm the TAKUI NAKAJIMA that I wish for.
 
というフレーズを思い出す。
 
日常を生きていると忘れがちで、こうやって自分自身の為に生きている姿を見ることで、その姿に自分を重ね、私自身も自分のために生きないと…という気になる。
この曲は彼の人生観でもありながら、指針にもなり、憧憬をも覚える。
----------------
なんたるフルボリュームで聴き終わった満足度がすごい。スピード感のある楽曲はもちろん、ミディアム・バラード曲でもずっと前を向いていて、卓偉さんの独立後の心境を大きく反映しているよう。
聴いていると新しいことに一歩踏み出したくなるし、踏み出せる気がする。
 
これまでも例えばYES,MY WAY
人生はつくづく「甘い」ものだと思う
それは何度でもやり直しがきくってことにある
 
と謳っていたり、何度も背中を押してくれた曲が沢山あるが、今回は背中を押すというよりは現状を受け入れて、その上で引っ張ってくれるように思う。
 
そして相変わらず正確なピッチとそれが織りなすコーラスワーク。その上でエッジが効いていて、こんなに衝動性もありつつ、安定したロックンロールがあるのか…と思わされる。
アルバム曲をライブで聴けるのが非常に楽しみです。

 

まだ東京、大阪、名古屋ツアーが残っているようなので、気になった方は行ってみませんか?